アニプレッション

アニメブログの新たな形を目指します。クロスレビューと各メンバーの個性を生かした多岐な記事を発表する事で、アニメ語りの面白さを伝えられる場にしていきたいです。またメンバー以外でも、ぜひ記事を書きたいという人はツイッターやコメントなどでご連絡ください。

執筆者:フル・風呂

『ヱヴァQ』観終わったら『UN-GO』放映から1年経っていたことに気づくなど(本編雑感)

ミダマ(人の奥底にある「真実の言葉」)を吐かせ、
それを喰らい尽くすことで人を死に至らしめる因果を目前にして、
彼女は『少年期』を口ずさみながらネック片を自身の腹部に深く突き刺し
「あなたに、なにがホントウかなんて、決めさせない」と
ミダマを吐かされる前に、自らの命を絶つ。


『ヱヴァンゲリヲン 新劇場版:Q』における渚カヲルの自己犠牲は
『UN-GO episode:0 因果論』の倉田由子の自殺を想起させるものだった。
そして『ヱヴァQ』『因果論』の自己犠牲/自殺を目前にしながら
為す術もなく生き残ってしまった、ガキシンジ(碇シンジ)と探偵(結城新十郎)の姿も重なる。
碇シンジに問われた、個人的な動機を発端としたサードインパクトで
世界を変えてしまった加害者性と同等の罪を背負った結城新十郎。
(因果に取り憑かれて同行者を殺し、策略によりその事件が戦争の火種となってしまう)


『ヱヴァQ』を観終えてから『UN-GO』を観返すと、
ガキシンジのその後の生き方の可能性の一つとして結城新十郎の生き方が見えてくる。
「シンジさん(序・破)」でも「シンジくん(旧)」でもなくった「ガキシンジ」は、
それでも生きて墜ちていくように歩み、勇気(ゆうき)をもってゲンドウ達のミダマを暴き、
悪と正義を同時に抱えた人の愛や正しさ美しさを知ることになるだろう。


《人は、他のために命を捨てられることもある……だからといって、オレやあんたが偉いわけじゃない。偉いのは、美しいのは、死んだ彼らだけだっ。オレたちは卑小で、愚かで、猥雑で、この地面に這い蹲って、必死に生きている、それだけだ》
(『UN-GO』5話「幻の像」より)


「美男子に騙されるなんて、ほんとガキなナナヒカリ」
 
執筆者:フル爺(@FullHuRo)
 

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アニメ感想「楽しむためのラベル(枠)」作りのすすめ(前編)  ―本編「ジュエルペット・サンシャイン in グラインドハウス」/「そふてにっ in グラインドハウス」予告編―

・はじめに

こんにちは。おはぎです。

今回の記事はツイッターで積極的に活動されている@FullHuRoさんによるものです。
アニメ作品に限らず、映画やマンガも含めて、その作品をわかりやすくするため、より面白がるために「〇〇(作品名)は〇〇だ」「〇〇さん(監督)は〇〇だ」とカテゴライズをする事があります。
例えば「らき☆すたは日常系」「エヴァはキングレコードアニメ」「新房監督はゴダール」とか。

今回の記事の趣旨は、こうしたカテゴライズする事を@FullHuRo さんは「(楽しむための)ラベル作り」と呼び、この楽しみ方を「ジュエルペット」や「そふてにっ」を通して、行う試みをしています。
アニメのさらなる楽しみ方の一つとして、@FullHuRo さんの試みをぜひご覧ください!

↓以下、フル・風呂さんの記事です↓

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●アニメ視聴における「楽しむためのラベル(枠)」とは…

今期(2011年4月~)のアニメは話題作、充実した粒ぞろいの作品が多い。そして今期は特に、2作品以上の作品を同時に観ていくことで、面白さが倍増する作品群の関係性が素晴らしいと個人的に感じている。

例えば、「杉田智和」のパロディ演技のヴァリエーションを楽しむなら『銀魂’』『スケット・ダンス』『俺たちに翼はない』、「BL/百合」テイスト全開の「スーパーヒーロー/ヒロイン」もの『フレッシュ プリキュア』『Tiger&Bunny』、「脚本:岡田磨里」連続アニメ小説『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない』『花咲くいろは』(と現在放送中の『GOSICK―ゴシック―』)等、人によってはそれぞれ組み合わせも違うし無数にあると思う(*1)。

また、放送形態を通じて楽しみが倍増する作品も多い。「ノイタミナ」、「ニチアサタイム」(特撮も混じっているけど)、「日5」等を通じてみるアニメ、「ニコニコ動画」で観る『日常』や『カードファイト・ヴァンガード』や、「Ustream」で観る『Tiger&Bunny』は格別だと感じている方もいらっしゃるのではないか。

私は、アニメ視聴者がアニメを楽しむ時に、原作媒体(ジャンプ・ガンガン等)や制作スタッフ、放送形態を通じて作品間で「楽しみのラベル(枠)」を意識的・無意識的に作っていると思う。私もまたそういった楽しみ方をしているわけだが、意識的に「楽しみ方のラベル」を作るよう努めている。

私にとっての「楽しみ方のラベル」とは「ブックマーク」のようなもので、アニメの楽しさの要素に文脈を作り、それを元に現在見ているアニメを考え・楽しみ、まだ観ていないアニメ(新作・旧作問わず)の意識付けや、以前観たアニメをもう一度楽しむための準備物だと捉えている。そして、「楽しみ方のラベル」をブログやtwitter等で公開することは、ある種の「興行」行為だと私は考えている。

長い前文を読んで頂きありがとう、そして(ry!ではでは『グラインドハウス』(2007年 本編監督:ロバート・ロドリゲス、クエンティン・タランティーノ)を通じて!?今期のアヴァンギャルド・アニメ筆頭『ジュエルペット・サンシャイン』と『そふてにっ』に「楽しみ方のラベル」をなんとか作ってみるぜ(正確性ポロリもあるよ!)。イエィ!よろしくっ!!

*ここから「リアル対象年齢 18歳以上、精神対象年齢3歳以上の作品レビュー」となります、予めご了承ください。


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「Rio Rainbow Gate!」 監督:カミナギ・リョーコ!? ―『Rio』と『ゼーガペイン』のあいだ―

 
はじめに
 
今回の記事は、@FullHuRo (フル・風呂) さんの寄稿です。
まさか、前日にお願いしてこの内容!流石です!!

2000年代のアニメの新たな可能性を提示した「ゼーガペイン」
2010年代のアニメの新たな可能性を提示した「Rio」
それぞれの作品に対する愛情溢れる内容、そして個々の描写一つ一つの意味を丁寧に考察した
フル・風呂さんの渾身の記事をぜひご覧ください。(おはぎ)


↓以下、フル風呂さんの記事です↓
 

*ネタバレ有ですが、これから『Rio』『ゼーガペイン』を観られる方の導入編、また片方・両作品観られた方への再導入編となるように書いた記事です。アニメ表現の「イメージ」を巡る内容となっております。

 

 ●ソゴル卿「消されるな、このRioっぱい。忘れるな、その膨らみ」リオ「はい。お客様が、お望みであれば」

 

20111月、現在もネットを中心に一大ブーム中の『魔法少女まどか☆マギカ』の放送がスタートした。毎日放送(MBS)での『まどか』先行配信が週を増すごとに視聴者の熱が増す中、同時期に『Rio Rainbow Gate!』は放送を開始した。


毎日放送において『まどか』の次の時間枠で放送されたRio(TOKYO MX先行放送)は、『まどか』視聴者による幾多のネット言説・二次創作の波に呑まれた。BD/DVDの売上は約100倍の差がつき(*1)、『Rio』は「もう、忘却されてもいいんだよ」という空気にさらされているのが現状だ。


『まどか』は<「新房シャフト」ブランドの文脈><「蒼樹うめ」キャラとその内容のギャップ><虚淵玄による、平成ライダーと魔法少女の存在論を掛け合わせ、総括したハードなストーリー><『lain』から圧倒的なアニメーションで、度々ジュブナイルもので話題作を作り続きてきた、アニメキャラデザインの岸田隆宏><梶浦由記による少女「NOIR」を彩る音楽><二次創作・グッズ消費・評論活動>等数え切れないほど「深い」語りの切り口が用意されている。
 

一方『Rio』はというと<原作が「コーエー・テクモ」プロデュース「NET」のパチスロ機><制作XEBEC 監督:加藤誉夫による1期『To Love- とらぶる-」路線><井上麻里菜・たかはし智秋・竹達彩奈等の女性キャスティングの楽しさ><EDが『侵略!イカ娘』主題歌を担当したULTRA-PRISM>といった「享楽」的要素が目立つ。

ストーリーも、カジノで働くリオたちが、オーナーのハワードに振り回されながら「ゲート」と呼ばれるカードを巡って刺客たちとお色気ありのバトルがメインだ。筆者の私も、享楽に身を委ねて楽しみ、ラストの「世界同時ラッキー」でひっくり返ったものの、『Rio』には享楽的要素は見いだせても「深い」語りの切り口が見いだせなかった。


ところが『Rio』終了後から1カ月が経ち、考えが一変した。きっかけは、アニメ専門チャンネル「アニマックス」で『ゼーガペイン』の再放送を見返したときである。『ゼーガペイン』と『Rio』を結ぶもの、スタッフ的には脚本の関島眞頼さんと声優の井上麻里奈さんだ。この少ない要素で、両作の共通要素が大きく作品に現れることはないと普通なら思うはず。しかし、『ゼーガペイン』と『Rio』はOPの時点で両作品とも根幹で繋がっていることを映像で主張していたのだ。

 

この内容の続きは↓

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同人誌告知
アニプレッション Vol.3 今回は富野特集として、特に富野監督を知らない方に向けて、富野作品と監督の良さを伝えていきたいということで、ちょっとした特集を組みました。
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おかげ様で完売しました。ありがとうございました。

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アニプレッション Vol.1 2010年の人気作品を中心に語り倒した内容になっています。
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失われた何か(おはぎ)
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もす!(神酒原(みきはら) )
…人間の生涯に、何らかの価値があるとするならば、それはその何者かと戦うところにしかない。自分の代わりにものごとを考えてくれるイマジネーターと対決するVSイマジネーター ―それこそが人々がまず最初に立たねばならない位置だろう ――霧間誠一
妄想詩人の手記(おパゲーヌス)
アニメにおける「見せ方の良し悪し」と「価値のありか」をきちんと評価できるような記事を書いていくのが目標です。アニメは芸術たり得るか。そんな命題を常に問いかけながら、なるべく好意的にアニメと向き合っていきたい。
Phantom(柚木礼)
アニメの演出に興味があります。
FullHuRo フル・風呂
アニメ感想による「アニメ興行師」見習い中。良作・珍作・迷作の情報求む。記事内容の補足もtwitterでもやってます!
大好きなアニメを観て感じたこと、想ったことを大切にした記事を通して、色々な人たちと多角的に一つの作品やアニメ業界を見つめ、よりよい形で『アニメ』というものを付き合い、理解して行きたいです。
半熟ゆでたまご(クラッカ)
アニメに関する演出・作画の記事を中心に書いています。 背景が綿密に描き込まれていて一つひとつの動きを破綻なく描く作品より、 ハッタリ重視でアニメという空間ならではの演出を見せてくれる作品の方が好き。
今期はアニメから遠ざかってる人。来期は何がなんでも復帰したい。そして、そろそろ初投稿を。
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