アニメに限らず、あらゆる分野――それこそ、私たちの日常生活に置いてすら、「髪型」というのはその人の「キャラクター」を決める上で大きな意味を持つ外観上、重要なファクターと言えるのではないでしょうか。

例えば、私たちがもし丸刈りの髪型をされた青年を目にすれば、「野球部なのかな? もしくはスポーツに強く厳しい学校?」「それともお坊さん?」と思うことも少なくないでしょう。もちろん、必ずその二つに当てはまるわけではありません。先入観・イメージの問題ですね。

そして、当然のようにアニメや漫画、ゲームにおいても登場人物の髪型や髪の色というのはその登場人物の個性を示す「キャラクター(その人の持ち味)」として大活躍します。今や、一部においては特定の要素に対してテンプレートとも言える容姿すら存在すると言えるでしょう。

そこで今回は、皆さんと一緒にアニメやゲームでのキャラクターの髪型(髪の色含む)についていろいろと考えてみたいと思います。いろいろなところで散々やったネタのようにも感じますが、せっかくですので。







本日のお題:金髪ツインテール


この記事を書こうと思った最初のきっかけは、現在放映されているアニメ『蒼き鋼のアルペジオ -アルス・ノヴァ-』に登場するキャラクター・ハルナを観たこ時に私自身が感じたギャップでした。彼女の髪の色は「金髪」、髪型は「ツインテール」です。

私の中で「金髪」「ツインテール」というのは、実年齢は別として身体的に幼い少女(つまり「ロリータ」と呼ばれる外観)の象徴であり、キャラクターの属性の一つとされる「ツンデレ」の代名詞という印象が強かったのですが、『アルペジオ』のハルナはそのどちらにも該当しなかったことが驚きだったわけです。

当然、「金髪」で「ツインテール」だから身体的特徴が少女的で、性格がツンデレでなくてはいけない、ということはありません。どんな髪型をしていようと、そのほかの肉体的要素と性格的要素は髪型一つで固定されるわけではないからです。しかしながら、やはり私たちのどこかには髪型に対して先入観にも似たイメージがあるのではないかとも思っています。

さて、話を戻しますが「金髪ツインテール」で思い浮かぶキャラクターは誰でしょう?

例えば私ですと、『ハヤテのごとく!』の三千院ナギです。彼女は「金髪ツインテール」という記号的要素を最も具現化したキャラクターの一人ではないでしょうか。性格はツンデレ、家柄はお嬢様、外見は少女そのもの(まぁ実年齢といえば実年齢ですが)です。また『BLACK CAT』『To LOVEる』のイヴ(金色の闇)も性格と外見がツンデレでロリという形のように見えます。

他にはどうでしょう? 「金髪」で「ツインテール」と両方を満たすキャラクター自体がそんなに多くないかとは思いますが、今期放映しているアニメの中では『BLAZBLUE -ALTER MEMORY-』のレイチェル・アルカード、他にも『魔法少女リリカルなのは』シリーズのフェイト・テスタロッサ(第三期以降を除く)、『D.C. ダ・カーポ』の芳乃さくらは、ツンデレとは呼べないかもしれませんがロリータの要素があるように感じます。


では、要素を少し分解して考えてみましょう。


要素1「金髪」
まずは髪の色です。「金髪」に対して私たちはどのような印象を抱いているのでしょうか。特に日本人にとって「金髪」というのは日常的な髪の色ではありません。あまり地毛で金髪、と言う方は多くないでしょう。多くの日本人にとって地毛は黒、ないし黒に近い茶のように感じます。また「金髪」というのは西欧の印象を強く持っているのではないでしょうか。

今でこそそうでもなくなりつつありますが、西欧というのはある種の憧れがあるように感じます。歴史を辿って行けば、日本という国は明治維新の際、さらに第二次世界大戦敗北後の復興の際などにおいて、その都度西欧・欧米を目標にしてきた国のようにも思えます。
西欧は先進国の多くの本土があるため当たり前と言えば当たり前なのかもしれませんが、欧米に対する憧れや目標であることはあまり変わっていません。何かとモデルケースにしたり、指標にしたりすることは欧米であることが多いのではないでしょうか。スポーツにおいても、野球はMLB、サッカーやバレーボールは欧州リーグをトップリーグという認識もまた憧れ意識、目標意識を高めているのかもしれません。

当然憧れの地であるため、そういった場所に住む人々、そういった場所出身の人々は「私たちよりも裕福」というイメージが間接的に生まれて、「金髪はお金持ち」という先入観を生んだのかもしれません。また一昔前まではなかなかそういった地に訪れる、ということもお金のかかることだったこともありなかなか叶わなかったことも、そういった憧れ意識やお金持ちの意識を高める要員になった部分もあるのかな。

そんなわけで欧米人のイメージにも近い「金髪」という要素は、私たちにとって憧れ――見上げる存在なのではないでしょうか。それは立場を変えれば、相手から私たちは見下される存在ということになります。そうなると上下関係がぼんやりと決まり、見下すということは相手より優位に立つ――相手に対して強いプライドを持つということになるのではないでしょうか、それは精神的にも、金銭的にも。

そして金銭的に裕福ならお金持ち、精神的に高尚なら貴族というイメージに繋がっていくように感じます。さらに「お金持ちや貴族=お嬢様・お姫様=プライドが高い、ワガママ、高飛車etc...」と連鎖的にイメージが繋がっていったのではないでしょうか。もちろん、お金持ちや貴族であるが故に世間知らずだったり、天然だったりするキャラクターも数多くいますので、そこはプライドの高さか、純粋に育てられてきたのかでキャラクターは分かれそうですが、金髪のキャラクターだと前者の方が多いイメージがありますね(あくまでそういうイメージなだけで、統計を取ればまた違った結果かもしれませんが)。

話が少しそれてしまいましたが、そのプライドと言う存在があるため、本音と建前のギャップが激しくなっていく。それがアニメやゲームにおいては総じて「ツンデレ」と括られるように感じます。



要素2「ツインテール」
髪の色に関わらず「ツインテール」というのは、どこか幼さを示す記号のようにすら感じます。もともとがどうだったかはともかく、「萌え」という概念(というよりも感覚)が広く普及し始めた頃から考えれば、『けいおん!』の中野梓や『そらのおとしもの』のニンフが全体的な登場人物よりも年下(年下風)で幼さをイメージさせたのかもしれません。

あるいは『IS<インフィニット・ストラトス>』の凰鈴音や『みなみけ』の南夏奈などは、「幼い」というよりは「快活さ」の印象が強く、髪の長いキャラクターが運動する時に髪を纏める(ポニーテールなど)感覚に近い印象を私たちに与えてくれるのかもしれません。

これは勝手な推察ですが、「幼い」ということは「落ち着きがない」ということであり、「活発である」ということなのではないかという(金髪の項目でも書いたように)連想ゲームのようなことが起きているようにも感じます。そのため、髪を結うという行為は「動きやすさ」を重視したものであるため、キャラクターが必然的に快活なキャラが多くなり、私たちにはこのようなイメージを抱くにいたったのかもしれませんね。

とはいえ、髪を結った髪型全てが当てはまるわけでもないのも事実です。ポニーテールやお団子など、他の髪を結う髪型が「幼い」「快活」なイメージを与えるかと言えば、そうとも限らないからです。いや「快活」のイメージは与えるかもしれませんが、「幼い」イメージを与えるかどうか限らない、と書いた方がより正しいでしょうか。どちらにせよ、そもそも「幼い」=「快活」というイメージが、そもそもにして偏見でしかないことでもありますしね。



まとめ
このように分解して考えてみると、「金髪ツインテール」に「ツンデレでロリ」という印象を抱くのも必然だったのかもしれませんね。「金髪」と「ツインテール」二つの要素の組み合わせの印象なのだから、その二つの持つイメージがそのまま反映されるのは、当たり前と言えば当たり前です。

とはいえ、この二つの要素を組み合わせたキャラクターが多く存在していると感じるのは、「金髪ツインテール」をしたキャラクターのインパクトの強さもさることながら、この「金髪」と「ツインテール」の組み合わせが他の組み合わせと比べて格段に相性が良いからでもないでしょうか。

先にも挙げたように「ツインテール」には幼さや快活さを感じさせる要素が少なからずあると考えられます。そこに「金髪」の憧れや裕福さを感じさせる要素は、やや距離が離れているように感じますが、そこがポイントなのかもしれません。
「金髪」の持つ憧れや裕福さに起因するプライドの高さと、「ツインテール」の持つ幼さや快活さに起因する純粋なところが、結果として「金髪」の項目でも書いたように本音と建前のギャップの大きさを助長してくれているようにも感じます。そのギャップこそが、特に「ツンデレ」という萌え要素を引き立たせる上では必要不可欠なわけですから、それをより一層強く印象付け反映出来るイメージ的な要素を視聴者に与えてくれているのかもしれません。


当たり前なことではありますが、一応念を押しておくと全ての「金髪ツインテール」キャラクターがコレに該当するわけではありません。先に挙げたように『アルペジオ』のハルナはこの部分にほとんど該当しないし、そもそも歴史を遡って行けば古くは『美少女戦士セーラームーン』の月野うさぎなども「金髪ツインテール」なわけですから。

ただ、昨今のアニメやゲーム、漫画やラノベにおいてはそのようや先入観も生まれつつあるのだと思います。



今回の考察で私はこのような結論に達しましたが、皆さんはどうお考えでしょうか。他にも違った理由が皆さんの中にはあるかもしれませんし、そもそもにして「金髪ツインテール」に対して全く違う感覚やイメージをお持ちかもしれませんね。それを「どうしてそう想うんだろう?」と考えてみるのも、楽しいかもしれませんよ?


ちなみに「キャラクターの髪型考察(1)」としていますが(2)以降があるかは未定ですw