種村有菜先生が今年をもって『りぼん』を卒業する・・・・・・!!

そんなショッキングな話題を、最近目にしました。
種村有菜先生といえば、1990年代末期から現在まで活躍を続けている、押しも押されもせぬ『りぼん』の看板作家です。
また、『神風怪盗ジャンヌ』『満月をさがして』によってアニメファンとも馴染みの深い漫画家でもあります。
嫌な予感はしていました、『風男塾物語』で『マーガレット』にも描き始めたようでしたから。
『マーガレット』といえば、吉住渉先生の移籍後初連載がいまだに続いている・・・・・・!

吉住渉先生が『りぼん』を卒業して「レディースコミック」の範疇にあたる作品を描き始めたときもかなり驚きましたが。
僕は種村作『満月をさがして』、吉住作『ウルトラマニアック』が連載されていた頃に、妹の「おこぼれ」で『りぼん』を読んでいました。
種村有菜先生も、吉住渉先生も、読ませる漫画を描く印象的な作家でした。
しかし吉住渉先生は『りぼん』に既にいません。
そして、種村有菜先生も今度『りぼん』からいなくなる・・・・・・!

これは、これまでの『りぼん』を振り返る良い機会だと思いました。そして、アニメブログ的に『りぼん』におけるメディアミックスを考えることができると思いました。

今は部数も落ち、メディアミックスにも消極的なようですが、以前の『りぼん』はアニメ化によって作品が世間に広く浸透していた時期がありました。(もっとも『ちびまる子ちゃん』は続いていますが・・・・・・)

今回は僕が物心ついた90年代以降の『りぼん』とメディアミックスを思いっきり主観で語りたいと思います。

0:前史(1980年代)

自分が生まれる前の話なので、あまり詳しくはないのですが・・・・・・。
少女漫画版ドラゴンボールと言ってもいい『ときめきトゥナイト』が連載開始されたのが、1982年のようですね。
ほどなくして岡田あーみん、さくらももこといったギャグ作家が出てくる。
並行して、水沢めぐみ、柊あおい、吉住渉、矢沢あいといった、僕の世代もしくは僕のひとつ上の世代あたりには馴染みの深い作家たちが頭角を現します。
水沢めぐみ先生なんか高校1年生のころから描いてるんですものね。
wikipediaには1979年デビューと書いてありますから、『機動戦士ガンダム』が始まった年に水沢めぐみ先生は漫画家活動を始めたということになりますね。

ですが『ポニーテール白書』(水沢)、『星の瞳のシルエット』(柊)、『ハンサムな彼女』(吉住)といった当時の有力タイトルはテレビアニメ化されませんでした。
80年代にアニメ化されたのは『ときめきトゥナイト』です。しかしこれは比較的短期で放映終了したようです。
本誌の売れ行きは伸びていましたが、この時期はまだメディアミックスをガンガン仕掛けるという風には至っていないのでした。

1:1990年代(種村有菜登場以前)

1990年に『ちびまる子ちゃん』が放映開始していきなりアホみたいに視聴率を取りますが、これは別枠でしょう。

本誌は、『姫ちゃんのリボン』(90年・水沢)『天使なんかじゃない』(91年・矢沢)『ママレード・ボーイ』(92年・吉住)『赤ずきんチャチャ』(92年・彩花みん)とにわかに黄金時代の活況を呈してきます。少し遅れて小花美穂『こどものおもちゃ』(94年)が始まります。

『姫ちゃん』『ママレ』『チャチャ』『こどちゃ』はテレビアニメになり、成功しました。おそらくこのころがメディアミックスの最盛期でしょう。

テレ東の金曜18時に枠があったのもこの時期です。

・1992年 姫ちゃんのリボン
・1994年 赤ずきんチャチャ
・1995年 ナースエンジェル りりかSOS
・1996年 こどものおもちゃ

桜井弘明、大地丙太郎、佐藤竜雄といった演出家が育ったのがこの枠なのでした。

またABC制作・テレビ朝日系列日曜8時30分の枠(つまり、いま『プリキュア』をやっている枠)でも、『ママレ』(94年)『ご近所物語』(95年・矢沢原作)が放映されました。

ですが、ぶっちゃけて言うとこの時期の作品、僕にはあまり思い出がないんですね(笑)。
なぜかっていうと、まず僕が男子だったということ(『セーラームーン』『レイアース』を観るのが恥ずかしかった)、それと枠の問題(地元にテレ東、テレ朝系列の放送局がなかった)。この2点で観る機会に乏しかったのでした。
それに加え、ご近所さんだった幼馴染の女の子から見せてもらう形で『ちゃお』『なかよし』は読んでいたのですが、『りぼん』は身近になかったのです。

『りぼん』って、『ちゃお』『なかよし』と比べると、少しお姉さん向けなイメージなんですね。
だから幼馴染の女の子にも「敷居が高かった」のかもしれないですね(笑)。
ともかくとして、そういうわけでこの時期りぼん作品との接点が薄かったのでした。これは地域差、年代差がある気がしますけどね。
ああ、そうそう、忘れちゃいけない。
柊あおい先生の『耳をすませば』が95年にジブリ映画されているではありませんか!

2:『神風怪盗ジャンヌ』と『グッドモーニング・コール』の時代

1997年に種村有菜が初連載(『イ・オ・ン』)、同年に長期連載作品『グッドモーニング・コール』(高須賀由枝)が始まりました。
このあたりからが転換期な気がします。あくまで漠然と。
というのも僕は『ジャンヌ』(98年・種村)や『GMC』には間に合わなかったので・・・・・・あくまで漠然とした印象になるんです。
水沢『トゥ・シューズ』(97年)、吉住『ミントな僕ら』(97年)、藤井みなほ『GALS!』(99年)といった作品もリアルタイムで追えませんでしたし。

『GMC』連載終了が2002年4月号。『GALS』連載終了が2002年5月号ですか。もしかしたらその次の号から読み始めたのかもしれません。
というのも僕の妹が成長して漫画誌を読むようになるのがこの時期なんですよね。2002年、『ちゃお』の『ミルモでポン!』、『なかよし』の『東京ミュウミュウ』など含めて、僕に第二次少女漫画ブームが訪れるのでした。

この時期のメディアミックスとしては、『ジャンヌ』(99年・テレビ朝日)『GALS!』(01年・テレビ東京)のアニメ化がありますが、いまいちうまくいかなかった。
とくに『GALS!』のアニメが失敗したのは枠の問題が大きいと言われています。裏番組が『おジャ魔女どれみ』で、完全に食われてしまったのです。
以降テレ東のこの枠は少年向けにシフトすることとなりました。いや~放映枠の影響がこんなにも大きいとは。
それにしても『グッドモーニング・コール』はTVアニメになりませんでしたが、どうしてなんでしょうか・・・・・・。

メディアミックスに関しては『CCさくら』→『だぁ! だぁ! だぁ!』でなかよしのほうが頑張ってた印象はありますよね。

3:『満月をさがして』『ウルトラマニアック』の頃
2002年1月号で種村の長期連載『満月をさがして』が開始。その年の4月には早くもアニメ化されました。
『満月』に関して驚いたことが4つ。

・連載開始後すぐさまアニメ化されたこと。「早っ! 始まってから数か月しか経ってないのに!?」
・キー局における放映時間帯。「土曜朝7時半!? 起きれないよ、誰も観てくれないんじゃないのか!?」
・アニメの主演声優のたどたどしい演技。「mycoって誰やねん!?」(まぁ、主題歌を歌っていたのですが)
・原作でベッドシーンを描写したこと。

まぁそれらは良いとして、僕は種村有菜という『りぼん』新世代の旗手を強く意識したのでした。でも、『満月』原作の最終回をいまいち覚えてないなあ?

2002年2月号に連載開始した『ウルトラマニアック』の作者:吉住渉はすでに80年代から描き続けているベテランでした。
『りぼん』の漫画の中で、僕が一番思い入れ深いのが『ウルマニ』です。主人公の「クールビューティー」立石亜由のたたずまいは中学生ながらエロティックな香りすら漂わせたし、親友と同じひとを好きになってしまう魔法少女・佐倉仁菜の葛藤にも胸キュンでした。後半の展開が消化試合のような気もするけど。
少し作家論、作品論に寄ってしまうんですが、僕の中で吉住先生って、『ミントな僕ら』のクライマックスで胸を見せるシーンといい、『ウルマニ』の服が溶けてしまうシーンといい、なぜかエロティックなイメージと結びつくんですよね。
この時期、僕は中学生で、『ウルマニ』ほか現在進行の作品のほかに、くらもちふさこ作品なんかも読み返していて、「これは少年漫画は少女漫画に勝てない部分があるなあ」と思ったりしたのでした。
そういえば、ジャンル問わずこのころが一番漫画読んでたかもなあ・・・・・・。

また槇ようこ、酒井まゆ、春田ななといった今の『りぼん』の看板作家が中心を占めるようになるのがこの時期です。『愛してるぜベイベ★★』『永田町ストロベリィ』『サボテンの秘密』どれも懐かしいなぁ・・・・・・(遠い目)
そうそう、『愛してるぜベイベ』といえば。
『神様はじめました』の奈々生が、ゆずゆが成長した姿にしか見えないっていうんじゃなくて、『ベイベ』と『ウルマニ』はアニメがあるんですよ。
でも、放送局がアニマックスだったんですね。
いくら加入者が多いとはいえ、CSアニメってのはスルーされがちなんですよ。だから両者ともあまり浸透しなかったみたいで。

うーん、『満月』『ウルマニ』『ベイベ』、この時期のアニメ化も成功したとはいまいち言えないんですね・・・・・・残念ながら。
でも『紳士同盟✝』『だって好きなんだもん』が始まるまでが、僕が本誌を一番よく読んでた時期でしたよ。
『聖・ドラゴンガール』『MAXラブリー!』『永田町ストロベリィ』『アニマル横町』といった作品群・・・・・・いまでもよく覚えています。
中学時代ってなんでも記憶しちゃいますからね。
自分のお小遣いでは『週刊少年ジャンプ』『週刊少年サンデー』を毎週買うようにしていたのですが、そのほかにも少女漫画、ガンガン系作品も読んでいましたし、高校時代には過去の名作もずいぶん読んだ。高校時代末期には『アフタヌーン』を毎号買うようにもなったりして、アニメと同じくらいかそれ以上に、趣味のなかで漫画が大きい部分を占めていたのでした。
なんでアニメヲタクになったのかは、いろいろと原因があるのですが。

4:別れと挫折

2005年以降の本誌には特に語れることはありません。
部数の漸減。メディアミックスの消極化。吉住渉の離脱。そしてこのたびの種村有菜の卒業宣言。僕が知ってる頃の『りぼん』とは完全に別雑誌になっています。


当初この記事のタイトルは「『りぼん』とアニメのステキな関係」でした。しかしどうも調べているうちに、「ビミョーな関係」としたほうがしっくりくると思うようになりました。

古くは『ひみつのアッコちゃん』『魔法使いサリー』が掲載された実績があったりと、アニメ化作戦も古い歴史があるのですが、どうも『ちびまる子ちゃん』~『こどものおもちゃ』の時期を除くとトーンは低い気がします。

いま、少女誌でアニメ化の印象が強いのは、白泉社の2誌(『花とゆめ』『LaLa』)でしょうか?
そもそも少女漫画が「これは名作!」っていう作品でもあまりアニメ化されてなかったりするんですけどね。

結びにかえて

結局アニメ側に関してあんまり語ってない気がする(笑)。
『りぼん』は、確実にある時期までは、『なかよし』『ちゃお』よりも高度で読ませる作品を連載していたと思います。
でも、今はどうなっているんだか?
『夢色パティシエール』くらいしかアニメになってないから、本誌の事情があまりわからないのです。
ですがやはり、児童向け少女漫画復権のためには、この雑誌が頑張ってくれないと、という思いがあります。
ですから、種村有菜に次ぐ大物作家の登場をぜひとも願いたいところであります。


ところで『姫ちゃんのリボン』のアニメは、大人になってから観ましたがお薦めですよ。
小林七郎御大の背景美術もさることながら、本当に丁寧な作りこみ。
桜井弘明演出回がふんだんにありますし、『カードファイト!! ヴァンガード』の辻初樹監督の原点ともいえます。
主演の大谷育江さんにとっても、数少ない少女役でのメインヒロイン(エリカとの演じ分けは見もの)ですし、彼女にとっての「青春」の1作と言えることができると思います。