鋼の錬金術師 vol.1 [DVD]


テレビアニメ『鋼の錬金術師』は2003年10月、MBS制作・TBS系全国ネットで放映を開始した。
枠は土曜18時・・・・・・つまり『機動戦士ガンダムSEED』の後番組だった。
現在『マギ』が放映されている日曜17時枠の前身である。
この枠はウルトラシリーズ(特撮)を放映したりZOIDSシリーズを放映したりしていたが、ガンダムSEED以降は一貫してアニメ作品を放映している。

ハガレンがガンダムSEEDの後番組として始まったことの意味合いとは何か。


ガンダムSEEDの放映開始から今年で丸10年。時代が一周りした感はあるが、放映当時のガンダムSEEDの話題性は凄まじかった。
DVDはバカ売れ、アニメ雑誌では毎号のように表紙、人気投票を総なめ、他方ネットの掲示板では侃々諤々の議論が日夜繰り広げられていた。
それはガンダムシリーズの新作という「血の宿命」に振り回された結果でもあったが、ともかくエヴァンゲリオン以来に市場を活性化させたテレビアニメだったのだ。

ハガレンは、そんな番組の後番組だった。

完全に記憶をもとにして書く。
ハガレンはアニメ化当時連載開始から3年を経過してなかったと思う。出世(=アニメ化)は早かった。月刊連載だったので、原作ストックは少なかった。これがアニメの方向性を決定づけた。
ハガレンは、当時から掲載誌『月刊少年ガンガン』の連載陣のなかでも別格の存在だった。当時から看板連載だった。
ハガレンアニメ化の前年に『東京アンダーグラウンド』と『スパイラル~推理の絆~』がアニメ化された。しかし両作品の原作人気は、ハガレンに及ぶものでは到底なかった。
それで、わたしは東京アングラとスパイラルのアニメを毎週楽しみに観ていたのだが、ハガレンがアニメ化するぞ、という段階になった時、
「テレ東系列じゃないんだな」
と思った。
当時、少年ガンガンのアニメ化作品は、テレビ東京の火曜18時台に放送されるものと相場が決まっていた(俗にいう『エニックス枠』)。東京アングラもスパイラルもそうだった。
それなら、ハガレンのアニメも当然テレ東系列で放映されると当時のわたしが思っていたかというと、そうではなかった。
「ハガレンは、こういった枠(テレ東火曜18時台)に収まらない作品ではないのか?」
予感は当たった。ハガレンはテレ東系列6局より遥かに広範なTBS系全国ネットで放映されることとなった。

なぜ当時のわたしに、ハガレンがテレ東系列で放映されず、もっとメジャーな枠で放映される、という予感があったのか?
それは先程も述べたが、作品としての格の違い。
個人的思い入れは東京アングラ、スパイラルのほうが何倍も強いが、なんというか・・・・・・作者と作品が背負うものが、ガンガンの他作品とは全然違った。
後には引けない悲壮感をもって、ハガレンはメディアミックスを展開した・・・・・・という印象がある。いわば背水の陣だ。コケればスクウェア・エニックスが傾く。
だからアニメ化に当たってはいたれりつくせり、放映枠だけを取り出してみても、他のアニメ化作品とは違う優遇っぷり。
出来上がったものの「オーラ」も違ったし。
結果的にハガレンのアニメ化は大成功を収めた。しかし作者は小学館に引きぬかれた・・・・・・。

当時を振り返って、いえることはなんだろうか。
やはり、ハガレンのアニメは、土曜18時のあの枠でなければならない理由があったのではないだろうか。
様々な思惑が交錯し、結果的に土曜18時、全国ネットで放映、ということになったのだろうが。
しかしハガレンのアニメは、あの土曜夕方の、竹田プロデューサーが支配する枠でなくてはならなかった、という気がするのだ。
運命というか、必然というか。
テレ東の火曜18時台の枠で、チープなつくりでハガレンがやっているという「IF」はちょっと考えられないのだ。
あの時代に荒川弘が出てきて、ハガレンを描いたことは必然だった。
加えて、ハガレンがあの枠でアニメ化されたのも必然だったとわたしは考える。

そして、こういったことを考えて文章にまとめるたび、テレビアニメにおいて「放映枠」がいかに重要な要素であるかをわたしは再確認するのだ。