わたしは競馬ファンであるからして、
ついつい、「アニメを評価すること」を、
「競馬の予想をすること」の比喩として考えてしまう。

アニメ作品Aを「今期1番に推す」という行為は、
競走馬Aに「本命印◎をつける」という行為に似ている。
つまり、わたしにとっての、貴方にとっての、
「本命アニメ」は何か、ということだ。

自分にとって本命視しているアニメがあるということは、
そこそこ評価しているが、本命アニメほどではないアニメ、
ノーマークのアニメもあるということだ。
相対評価とは、そういうことだ。

競馬の予想とは、横の比較である。
◎をつけなければならない、
○も▲も△もつけなければならない、
ならば必然的に、横の比較になる。
競馬の予想とは、出走馬同士を比較することであり、
絶対評価ではなく、相対評価である。

そして、アニメの評価も、「横の比較」「相対評価」であると、わたしは思うのだ。
絶対評価ではないと思うのだ。
絶対評価ではだめだと思うのだ。

今回の記事では、
「アニメを評価すること」の重要性について考えてみたい。

アニメ同士に優劣をつけたくない、というかたを、否定するつもりはない。
嫌いなアニメがない、アニメを嫌いたくない、というかたも否定するつもりはない。

ただ、わたしは、アニメを序列付けするのが好きな人間であり、
アニメを序列付けするのが好きな自分に嘘を付きたくない。
だから、ここでは自分基準で書かせていただく。

アニメ同士に優劣をつける物言いや、
「評論」「批評」という言説が好きでないかたは、
この先を無理に読まれる必要はない。
なぜ、「アニメ作品に序列をつける」という行為を肯定するのか――。
それは、「アニメファンの個性は、アニメを評価するという行為によって明確になる」と思うからだ。

下手の考え休むに似たる
火鷹さんの『下手の考え休むに似たる』には、昔からお世話になっている。
わたしは火鷹さんの膨大なアニメ守備範囲を尊敬している。
そして、年末恒例の総評記事(ランキング)を幾度と無く読み返している。
きちんとアニメを観た上で、信頼の置けるランキングを出せる火鷹さんをわたしは尊敬している。
『下手の考え休むに似たる』は、日本のアニメ感想サイトの中で数少ない、読む価値のあるサイトだと思う。
その大きな理由のひとつに、火鷹さんの「個」が感じられるというのがあると思う。
管理人の火鷹さんのアイデンティティが透けて見える。
『下手の考え休むに似たる』は、日本のアニメ感想サイトの中で数少ない、書き手の個性が確立されたサイトだと思う。
何故か? 火鷹さんが、アニメをきちんと評価できる方だからだ。
アニメを評価することと、アニメファンの個性はつながっているのだ。

光希桃 Anime Station
光希桃さんも、わたしが尊敬している「アニメ観の天才」である。
光希桃さんは、「多量見」という世界を、われわれに教えてくれた。
「多量見」の苦しみも、楽しみも、教えてくれた。
「日本で放送されているほとんどのTVアニメを観る」という点だけで、光希桃さんの強烈な個性は感じ取れる。
その守備範囲、忍耐力、寛容性、アニメ愛を、わたしは尊敬している。
そして、より重要なのは、
光希桃さんもアニメをきちんと評価されている、という点だ。
「アニメ感想にっき」では、光希桃さんは毎回のアニメを5つ星で評価されていた。
ただアニメを大量に観るだけではなく、大量に評価されていた。
そんな光希桃さんに、追いつきたくても追いつけない。

火鷹さんや光希桃さんのような、アニメ愛に溢れた方が、
ただアニメを観るだけではなく、
きちんと評価されているという事実。
これを鑑みると、
やはりアニメをただ観るだけではアニメファンと言えないのではないか、という気持ちになる。
アニメを無批判に観て、感想を書くだけでは、アニメファンの個性は確立されないのではないか?

ここで「個性とはそんなに重要なのか」という問題が出てくる。
少なくともわたしにとっては、
無個性なアニメサイトより、
書き手の個性の滲みでたアニメサイトのほうが何倍も好きである。
そして個性の滲みでたアニメサイトとは得てして、「視点」のあるサイトである。
書き手の立ち位置が、好き嫌いが、考え方が、方法がわかるサイトである。
「面白かったです、終わり」の感想には、個性も魅力もない。
書き手を身近に感じられるのは、
書き手の立ち位置が、好き嫌いが、考え方が、方法がわかった瞬間である。

わたしは大好きなアニメもあれば、大嫌いなアニメもある。
好き嫌いが激しい人間だ。
文学や芸術、サブカルチャーの話題を共有してきた知り合いは、おしなべて、
ものの好き嫌いがはっきりしていた。
評価軸がはっきりしていた。

どのアニメを高く評価するか、
貴方の「本命アニメ」が何か、
そこに貴方の個性が出る。
アニメ作品を推すのには、勇気がいる。
だが、勇気を出して、自分の「本命アニメ」を表明しなくてはならない。
そうしなくては、何も始まらない。

べつに、優劣をつけることを、過剰に意識しなくてもいい。
アニメに対し、無批判であることをやめる。
そこから、アニメについて考えることが始まる。
自分の視点ができる。
アニメファンとして一本立ちできる。

アニメファンである貴方の立ち位置が知りたい。
好き嫌いが知りたい。
考え方が知りたい。
方法が知りたい。
そして、わたし自身も、立ち位置、好き嫌い、考え方、方法を確かなものにできるよう、
日々努力していきたい。

そして、アニメを「相対的に」評価するためには、
アニメの視聴量を増やさねばならない。

覚えている。おはぎさんに、「最低10年観続けること」と言われたこと。
わたしは首都圏で深夜アニメを観続けて6年になる。
まだまだ未熟者だ。
アニメを末永く楽しみたい。
そして、様々なアニメ像を心に住まわせ、アニメの「評価軸」を確立していきたい。

ちなみに、前期のわたしの本命アニメは『ココロコネクト』だ。