こんにちばんはございます。
「もす!」の神酒原です。

第1話の時からずっと読んで下さっているみなさん、一週間ぶりです。この第8話から初めて記事を見つけたみなさん、初めまして。第1話から一気に読まれたみなさん、お疲れ様です。
この記事は、アニメを見て楽しんだ人がより楽しめる、そしてイマイチだと感じた人も見方を変えてくれることを目指しています。

今回はお話の都合上、いつもとは少し違う記事になります。
記事内は基本的に原作ネタバレなしですが、記事の性質上、読んだら先の展開が読めてしまう可能性のある部分があります。その部分はきちんと注意書きして回避可能にしますので、気を付けつつ、安心して読み進めて下さい。

それではどうぞ。
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アバンタイトル

いつもとはどう違う記事になるのかというと、今回は基本的にフローチャート風に書いていこうと思っています。本編の流れに沿いながらの記事になるので、録画を再生しながら読む、なんてこともできるかもしれません。

というわけで、まずはアバン。
メールによるやり取りが最初に映されました。ここの会話は、別に読み取れなくてもさほど問題はありませんが、ここを把握しておくとエピソードのラストになって「そういうことだったのか!」と綺麗に落ちるので、引用することにします。

「ごめんなさい
でも
もうどうしようもないです。

みんなに謝ります。
それしかないと思う。」

「もう謝らなくていい。
最初から適材適所でなかったのは確かだ。
よくここまで頑張ってくれた。
後の処理はなんとか考えてみる。

ただし、上手くいったとしてもお前の望む
方向にはならないだろう。」


この時点ではだれとだれの会話なのかは不明ですが、のちの展開を見ると、前者が映画の脚本を書いた本郷真由、後者が入須冬実であることが推察できます。
この点については、ここではこれ以上触れないことにします。

次は、神山高校のHPにあるチャットルームですね。
「名前を入れて下さい」は入須冬実、「あ・た・し♪」は折木共恵、「L」は千反田だと考えていいでしょう。
グラスに入った、お茶?が減っている描写で時間が経過している(チャットの相手が「あ・た・し♪」から「L」に変わっている)ことがさりげなく示されていて、なかなか面白いシーンでした。キーボード入力も、細部まで確認したわけではありませんが、正しいタイピングをしていて、相変わらず京アニは芸の細かいことです。

ここは、のちの展開を見れば分かりますが、北海道から帰ってきた(夏休みではありますが、家は病院なので旅行なんて行けないはず。一人旅?)入須先輩が、事態の解決に乗り出したところですね。脚本の本郷と連絡を取ってどういう事態なのかを把握し、頼れる先輩であろう折木共恵に相談し、「頼りにはならないけど使い方によっちゃ踊ってくれる」折木奉太郎を引っ張り出すために千反田を使った……と。

千反田と知り合いだったという運も絡んでいますが、なかなかの手際のよさですね。


折木と里志の会話

要所要所に印象的な会話を盛り込むのも、古典部シリーズの特徴。
ここでは天才について語られていましたね。
折木に才能がないかどうかは保留したい。なるほど確かにそうです。折木は今までに、優れた洞察力と推理力を見せてくれましたが、所詮は数件なので、これをして「才能がある」というのは早計ですが、かといって期待はしたい、そんな段階。情報収集能力がなかったり、変なところで見当違いなことを言ったりと、今のところ一人で解決したことはないですからね。
例えば折木のこれが才能だったとして、それを活かせる場として真っ先に思いつくのは探偵業ですが、そういえば実際の探偵業務は警察以上に足を使う職業でした。探偵には特別な権利がありませんからね。折木には逆に向いてなさそうです。

余談になりますが、今回の会話シーンは、ほとんどが歩きながらでした。
ここもそうですし、タロットカードの話題の時もそうですし、江波先輩に案内してもらっている時もそうです。原作通り……かと思いきや、原作ではタロットカードの話は部室でしていました。
今回の絵コンテ・演出は、京アニの中でもベテランの一人・北之原孝將。ストーリーの流れを自然にするためにこうなったとも考えられますが、歩くシーンが好きなのかもしれません。

ちなみに、一回だけチラッと言っていたのですが、折木たちは編集会議のために登校していたのでした。神高祭に向けての準備風景が随所で描かれていましたが、古典部も文集の頒布で参加しますからね。
結局2年F組に協力することになってしまったのですが、文集の方は大丈夫なのでしょうか。


入須冬実の登場

厳密にはアバンで登場していますが、実質ここで初登場の入須先輩。
家族ぐるみで千反田と仲良しで、里志が文化祭実行委員会で面識あり(ただし一方通行)。
ちなみにこのくだり、神山高校には文化系の部活動がたくさんあることから原作では「音楽系部活と演劇系部活の争いの調停」となっているのですが、分かりやすさを優先したか、過去の自社制作アニメを意識したか、「軽音部と演劇部の争いの調停」となっていました。
『CLANNAD』で演劇部が実際に争ったのは……合唱部でしたか。

落ち着いていて物腰柔らかな、いい意味で高校生に見えない人でした。原作の印象そのままですが、ゆかなの演技の抑揚がいい感じにアダルティなので好印象です。
どういう感情、意図があるのかは分からないけど、ときどき挟まれる穏やかな表情がとても印象に残りました。会話運びは、明らかに古典部(特に折木)を協力の方向に誘導していくものでしたが。入須先輩も頭がよさそうですが、「効率的」という言葉をこれ見よがしに使ってみたり、と折木の扱いが上手すぎるので、共恵の入れ知恵もありそうです。


アニメーション:仮称『ミステリー』

摩耶花が稚拙と言う通り、なんとも度下手な映像でしたね。
前回の温泉の時と同様、やはり同じ京アニ制作のアニメが頭をよぎってしまうところです。感想ブログを回っても、『涼宮ハルヒの憂鬱』の「朝比奈ミクルの冒険」を挙げるブロガーがたくさんいました。

まぁでも、今回の『ミステリー』と『朝比奈ミクルの冒険」を並列に扱うのは、少し違うと感じます。
作中における役割がまったく違いますし、また、演出技法は天と地ほどの差がありました。

その最大の違いは、撮影方法。
『朝比奈ミクルの冒険』は、とりあえずみくるをあらゆるシチュエーションで撮れればよかったので、素人くさい映像ではありましたが、カメラは基本的に固定でした。実写作品を撮る時は、特定の効果を狙う場合を除いて、画面がブレないためにカメラを固定しますね。商用映画だとさらに機材を使ってカメラがスライドしたり上下したりしますが、素人映画ではそれは難しい。

反対に、『ミステリー』では、カメラマンも一緒に移動してしまったせいで、手ブレの大変酷い映像になっていました。物語として破綻しているのは『朝比奈ミクルの冒険』ですが、映像として破綻しているのは『ミステリー』と言えそうです。趣向を変えてドキュメンタリにすればよかったのに、なんて思いました。

しかし、アニメでこれを表現するとなると、難しいのは当然後者です。
なぜなら、カメラマンが常に役者と一緒に動いているので、アニメ画面上では背景も一緒に動かさないといけません。
アニメにおいて、カメラが前後左右に動く(パンする)ことはあっても、前後に動くことはまれ。難しいからですね。ズームイン・アウトで前後移動は表現できますが、そうすると主にキャラ作画の輪郭が残念なことになります。

しかし『氷菓』においては、なんとこの前後移動がしっかり再現されていました。
背景動画(詳しくはググって下さい)を使わないのであれば、背景を全てCGで描いてしまうと確かに前後移動はできますが、それだけでは説明がつかないレベルの映像が『氷菓』では見られたのです。
私が一番印象に残ったのは、鴻巣友里(CV:茅原実里)が見取り図を発見するシーン。カメラマンが鴻巣友里に近づき、見取り図までズームインするわけですが、カメラ移動に角度までついて、すごいことになっていました。これを違和感なく作ってしまう(アニメ上の)撮影技術に、舌を巻いてしまいます。
『氷菓』は撮影技術がすごい、ということを何話かの記事で書いたことがありますが、今回はそれがこれでもかと発揮された回でした。


『ミステリー』を読み解く

さて、折木たちが未完のミステリー映画の犯人探しを頼まれたということで、実際に映画がどのような内容だったのかを、細かく復習してきましょう。

しかし、復習する際、気を付けるポイントがいくつかあります。
一つは、第8話はまだ導入編だということ。原作の長さは氷菓と同じくらいなので、このエピソード「愚者のエンドロール」編を消化するのにだいたい5話前後を使うでしょう。その1話目ですから、推理に必要は条件はまだ出そろっていません。現時点の情報から犯人を導き出すのは不可能です。
(……と、公式サイトが更新されていました。いつもは金曜更新なのに、珍しいこともあるものだ。第8話から第11話まで、計4話が「愚者のエンドロール」編になるようです。なるほど、それで第11.5話があるのですね。
ただ、公式サイトのあらすじはいつも通りながら若干のネタバレを含んでいるので、観に行かないことをお勧めします。)
追記(ちょっ、更新が消されたw フライング更新だったようです。もしくは、ネタバレすぎると思って消したか。)追記終わり

一つは、上記にもありますが、『ミステリー』は、映像としては破綻しています。入須先輩によれば、脚本上はきちんと手掛かりが撒かれているようですが、映像上でもそうだと思うのはやめた方がいいでしょう。もしかしたらここではこういうカットが抜けているのかも、といったような深読みも必要になります。

というわけで、あくまで情報を整理するつもりで読み進めて下さい。
そして、ここから先、ネタバレはできるだけ排除しますが、手掛かりを綺麗にまとめてしまうので、記述を読むことで先の展開が読めてしまう可能性があります。展開を読ませないような書き方を意識しますが、さすがにそこの調整は難しいので、この先を読むかどうかは自己判断でお願いします。
また、このネタバレ注意ゾーンの終わりには同じく赤く大きな文字で注意書きを入れますので、回避される際は、それを目印に飛ばして下さい。

まぁでも読んでくれた方が嬉しいよね、なんて。原作を読み直して確認しているので、うっかりはないはずです。





まずは、登場人物紹介も兼ねて、有志6人がそれぞれバストショットで映されます。
ここでも整理しておきましょうか。

・山西みどり
やる気なさそうに見えるが、役作りではなく役が面倒くさいだけだと思われる。投げやりにしゃべっているので、比較的演技がマシ。折木曰く、態度が悪いので一番怪しい(笑)

・杉村二郎
頼りなさそう。ときどきセリフを噛んでいるが、噛み方が絶妙すぎて入野自由やべぇ。虫も殺せなさそうなイメージだが、この映画にはドラマ性がほぼゼロなので、容疑者から外すのは早計か。

・瀬之上真美子
一番棒演技だが、一番やる気に満ちている。初見では一番犯人っぽくない。

・鴻巣友里
しゃべらない。このダウナーぶりは恐らく演技ではなく本人のもの。一番力がなさそう。

・勝田竹男
なんとも冴えない顔をしているが、それ以外に特徴がない。

・海藤武雄
勝田竹男と名前の読みが同じ、いかにもどちらかが殺されそうである。みんなを引っ張るリーダータイプで、恐らく本人もそうなのだろうが、演技力がないせいで迫力不足。

6人は取材先の廃村に到着します。
とりあえず休めるところを探そうとリーダーらしき海藤武雄が言い、鴻巣友里が劇場を提案。

ちなみに、鴻巣友里が見取り図や鍵をあっさり見付けたことを怪しむブロガーがいたのですが、これらは誰でも発見しうるアイテムですね。落ちていただけの見取り図は言わずもがな、鍵だって、管理されている場所があったはずだと考えるのはそんなに難しくない。

そのあと、劇場内を手分けして調べてみることになります。里志の言う通り、安全を優先するなら全員で回るのが確実。ここで事件が起こるでしょうから、動きを細かく見てみることにします。

のちに殺される海藤武雄は、正面からホールへ向かって右側一階の通路へ。ここには上手袖の他、あとで通りましたが、控室が二つありましたね。
鴻巣友里は右側二階の通路へ。見取り図によると、照明調整室があります。
勝田竹男と山西みどりは、左側一階の通路へ。下手袖、控室、倉庫など。
残りの瀬之上真美子と杉村二郎は左側二階の通路へ。音響調整室、用具室があります。杉村二郎は用具室から顔を出していました。

余談ですが、「事件はこのあとに起こる」のナレーターに「そうだろうとも」と返事を返す里志が面白いですね。前回の怪談の時も「待ってました!」だの「そうこなくちゃ!」だのいらない茶々を入れていました。こんなところはアメリカンな似非粋人。

再びメンバーが集まりますが、この時に海藤がいませんね。このあとは5人全員で行動しているので、この間に殺人が行われたことになります。
「そっちは?」と聞かれて全力で腕をばってんにしたり、海藤くんがいないという話題になると目をキッとさせてあちこちを見回したり、と瀬之上真美子が可愛い。この子は犯人ではない気がします。え? そんな理由で容疑者から外すようでは毛利小五郎レベルだって? 確かにそうです。でも瀬之上真美子は現場から一番遠かったりします。

海藤武雄を迎えに行く際、控室を二つ通りました。
どちらにもいないということで、舞台袖に向かいます。しかし鍵がかかっていて入れない。鴻巣友里と瀬之上真美子がマスターキーを取ってきて開けると、血を流して倒れている海藤の姿が。
なんと、ここまでクオリティの低い映画だったのに、ここにきて「腕が切断されている」というショッキングな映像に。
現場の状況は、窓付近に海藤武雄が倒れていて、少し離れたところに切られた腕とこの部屋の鍵。本人と腕の間にはガラスが散らばっています。

どう頑張っても、工場で加工しない限りガラスで腕が切れるわけはありませんね。なので、ガラスはミスリードでしょうか。
また、窓は開くが建て付けが悪く、外は草が生い茂っており、人が通った形跡はなし。下手袖へ行く通路は角材などが通せんぼをしていて通れない。つまり、下手袖の窓やドアは侵入経路としては使えない。

と、いうところで映像が途切れています。これから解決編ということは、脚本上ではこの時点で手掛かりが全て出ているということでしょう。

これらの情報から推理が不可能であることは上記の通りですが(推測はできる……かも?)、多くのブロガーが疑問に感じていたポイントがあったので、紹介しておきます。
そもそもの話、なぜ脚本の本郷に結末を聞かないのか。そもそも聞けない状態なのか、それとも聞けない事情でもあるのか。
冒頭のメールが本郷のものだと分かれば、より疑問に感じるところでしょう。この疑問も、解決への糸口の一つです。

これ以上書くとネタバレに抵触しかねないので、この辺でやめておきます。実は執筆中、ネタバレではないですが、これでほとんど答えが出てしまうようなヒントを書いてしまうところでした。危ない危ない。原作を確認してみたところ、このヒントは描写されていませんでした。なんということだ。アニメ版は尺の調整のためか、原作よりも情報が整理されていて謎が解きやすくなってはいますが、さすがにこのヒントは……まぁ別にいいのかな。

原作既読者向けに、どこの場面だったのかを白文字で書いておきます。
※以下の隠し文字には、これで8割方答えが分かってしまうようなヒントが書いてあります。全ての謎が説明できるわけではないですが、原作既読者、もしくはネタバレが気にならない人以外は反転表示をしないで下さい。

5人で海藤武雄を迎えに行く時、控室を覗きましたよね。1つ目の部屋ではよく分かりませんでしたが、なんと、2つ目の部屋で、窓が開いていました。原作既読者であれば、「ああ!」と合点がいくはずです。とてつもない大ヒントですね。

次回は2年F組の3人の探偵役の話を聞き、答えを探っていく回になるでしょう。新たな情報も出てきます。恐らく、次回で推理に必要な情報は全てそろうのではないかな。次回のこの記事でも、今回と同様、情報を整理していきたいと思います。





これにてネタバレ注意ゾーンは終了です。


映画を見終わったあと

映画の内容は次回以降にも再整理されるでしょうから、むしろ今回のお話の中で一番重要なのはこちらでしょうか。
面白いと思えるポイントを挙げていきます。

折木があからさまに嫌そうな顔をしていたのが面白かったですね。感想ブログでも、取り上げるところがありました。
しかしこのカットは何気に重要。なぜなら、折木は滅多に表情を変えないからです。
滅多に表情を変えない折木がこんなにも嫌そうな顔をしたのは、実際に嫌だったというのもあるでしょうが、嫌以前に自分たちが犯人探しをする道理なんてないと思っていたからでしょう。わざとらしい嫌そうな顔は、意味を見出すなら「嫌味」でしょうか。

入須先輩が解けばいいじゃないですか。なぜ俺たち古典部が選ばれたんです。
これらの疑問には入須先輩が答えてくれましたが、残る一つが厄介。もし犯人が分からなかった時、古典部には責任がともなってしまいますね。この責任を負うことはできない。千反田のおじの件を最初は断ったのと、似ています。

まぁそこで、入須先輩がオブザーバーという妥協案を出してしまうのですけどね。
オブザーバーとは、会議において発言権はあるが決定権はない人のことを指します。決定権がないので、なるほど責任はありません。折木がまさに千反田に出した条件と同じなので、ニヤリとしてしまいます。

入須先輩の方は、折木の質問には的確に答え、タイミングよく妥協案を与え、と非常に上手く立ち回っているのが印象的でした。一度はあっさりと引き下がったのも、絶対に千反田が食い下がってくると睨んだ上での行動でしょう。里志の「彼女の周りの人間は、いつしか彼女の手駒になるってさ」がまさに状況を的確に表していますね。

また、このシーンはカメラワークも印象的でした。
入須先輩は最初はスクリーン側に立ち、後半は出口付近に立っていましたが、この移動の前と後で、古典部メンバーを映すカメラの位置も変わっているのですね。具体的に言うと、前半は正面から彼らを映したカットが多かったですが、後半は後ろから映したカットが多かったです。

つまり、カメラを主に古典部と入須先輩の間に置いていたことになります。あと、横から映したショットもありましたが、どれもスクリーンに向かって左側からカメラを向けていました。

これらから分かることは、立場の逆転。
入須先輩は、視聴者の目から見ても不躾で無謀なお願いをしているわけで、当然折木はその点を攻撃します。十分な理由がないのに働きたくはないですからね。この時、カメラは左側から彼らを映しているので、古典部が右側・つまり上手、入須先輩が左側・つまり下手。演劇では、上手から下手への流れが出来ているのがよいとされます。ここでは折木(上手)が追求し、入須先輩(下手)が受け答えしているので、流れが出来ています。

しかし、あっさり身を引いたあと。入須先輩は帰ろうとして、古典部より後ろへと移動しました。カメラは依然左側にいますので、上手と下手が逆転したことになります。
そう、この瞬間、入須先輩は逆転していたのです。千反田えるという、好奇心の亡者(失礼)を味方につけたことによって。
あとはいつもの通りですね。千反田のキラキラ光線に押された折木は体勢を崩されます。

まぁそれでも「責任」を盾に踏ん張るわけですが、そこで後ろから追撃。
ここで、両者の間においていたカメラが役に立ちますね。古典部メンバーは椅子に座ったままなので、首はひねっても必然的に入須先輩に背中を向けます。「オブザーバー的な役目ならどうだろう?」と会心の一撃を放つ入須先輩が、後ろから獲物を仕留める狩人に見えました。

とまぁ、最後の最後、「そうか。助かるよ」と頭を下げる入須先輩のカットでは、カメラが右側に移動して上手・古典部、下手・入須先輩、という構図に戻っていたのですけどね。
上手いこと古典部の協力をもぎ取ったあとは、やはりお願いする立場であることには違いないから、礼は忘れずに下手(したて)に回った……ということなのかも知れません。
結果のためには周りの人間を駆使して自分の手駒にしてしまうが、礼節と節度は忘れない。入須先輩の人となりが見えたようです。

余談ですが、「下手」という漢字は難物ですね。「しもて」と読むか「したて」と読むか「へた」と読むかで意味が全て変わってきます。この記事では三つとも使ってしまいました。


そのあと

帰り道では、入須先輩に「女帝」というあだ名がついていることから、自分たちをタロットカードに当てはめてみようという話題に。
私はタロットカードに関する知識をほとんど持ち合わせていないので、原作を読んでいるにも関わらず、里志と千反田の言っていることはチンプンカンプンでした。折木と摩耶花の仲間。
まぁでも、原作でもここでは詳細な説明はなかったと記憶しています。確かのちに再びこの話が出てくるので、今は気にする必要はないでしょう。

翌日?は、千反田が探偵役の人たちと話をする段取りを固めていました。
あまりの暑さに外出を断念する折木が面白すぎます。しかも引っ込んだところを千反田に引っ張り出されるものだから、私は大笑いでした。第2話の図書館に行こうとする時といい、第3話の壁新聞部へ乗り込もうとする時といい、折木は千反田に連れて行かれる様が定着してきましたね。

さて、移動中。千反田が得意げに摩耶花に見せたのは、頂き物のチョコレート。こっ、このチョコレートはもしや……!

案内役を務めてくれた江波倉子先輩。クレジットが入須冬実と同じタイミングなので、重要人物だと捉えて間違いないでしょう。毎回最後に挿入される英字副題にも、「Why didn't she ask EBA?」とあります。
千反田が質問して、答えてくれました。脚本の本郷とは親友のようです。
曰く、「生真面目で注意深く、責任感が強くて馬鹿みたいに優しく、もろい」。淡々と事務口調で話す江波先輩でしたが、この時だけは声に少し色がついていました。親友については無感動ではいられない、という微妙な変化を表現してみせた悠木碧、見事です。
ちなみに、このセリフも何気に重要。

探偵役の3人に会ったところで、次回へ続きます。見た目からすでに曲者揃いで、さっそく次回が楽しみになってきます。


小ネタ:神高祭

俗称の方が言いやすいし書きやすいのですけどね。古典部の伝統?に倣って、略称の方を使うことにします。

さて、古典部は神高祭で文集を頒布、2年F組は自主制作映画を上映する予定でありますが、つまりは、文化祭が近づいているということ。
あちこちで神高祭に向けての準備風景が描かれていましたね。なんと細かいことに、実は第3話の時点でも描かれていました。わお。

しかし、それにしては少し寂しい感じもします。文化祭はありとあらゆるアニメで描かれてきた定番イベントですが、それらに劣るように見えます。同じ京アニ作品内で比べても。
神高祭は、文化系部活がものすごく活発になることで有名であり、神高祭の描写はそれはそれは盛大なものになるはず。

となると、愚者のエンドロール編が解決に至る第11話までの間に、段階的に派手になっていくのではないかと私は推測しています。
その様子を見ていくのも、面白いのではないでしょうか。


終わりに

それでは、今回の記事は以上です。
今回は「まさしく私の記事の出番だ!」と意気込んでしまったので、記事も気合いを入れて書かせてもらいました。妙な見落としがないか心配ですが、きっといい記事が書けているものだと自負しています。

今回は今までで一番長い記事なんじゃないだろうか、とふと思い至り、字数をカウントしてみました。
第1話:6,093字
第2話:5,692字
第3話:7,574字
第4話:7,246字
第5話:7,311字
第6話:7,615字
第7話:7,801字

そして今回の記事は、この「終わりに」を除くと、なんと9,588字。わお。

「もす!」の感想記事です。
よろしければどうぞ。

ではまた。