1.はじめに


こんにちわ、のんたんです。現在放送中の『猫神やおよろず』ですが、原作者のFLIPFLOPsは東方ジャンルの同人誌でご活躍されていたようです。そのようなこともあってか、キャラクターデザインをはじめ、全体的にも東方らしい雰囲気を醸し出しているということも言われているようなのです(*1)

そのようなことも含めキャラクターが可愛いということも魅力的ですが、第8話において、ゴン太の意識した目線を枠を用いて表現しているなど(*2)、魅力的な演出を見ることができるアニメではないでしょうか。

今回も繭が古宮柚子に1つ願いを叶えてやろうとするものの、柚子はそれを拒んでいるように、この時点では2人の間には一定の距離感があるかのようでした。
しかも、そのことを強調するかのような演出が施されているかのようでした。そこで今回は、2人の距離感を強調する演出についてみていくことにしたいと思います。

2.『Candy☆boy』第3話における距離感を強調する演出


そこで、星川孝文監督の『Candy☆boy』第3話における距離感を強調する演出からまずみていくことにしたいと思います。

というのも、本作品の第3話では櫻井奏、櫻井雫が台所に置いて殺伐とした雰囲気を醸し出している中に櫻井雪乃(薄茶髪の子)が登場するというシーンがあります。そのシーンを見てみると、あたかも3姉妹が一直線上にぴたりと並んでいるように見えるのです。

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だが、次のカットで種明かしがなされます。先ほどの斜め前からのカットではあたかも3姉妹が並んでいるかのようであったのです。しかし、後ろから見てみると、実は奏と雪乃はぴたりと並んでいるものの、雫はこの2人とは離れていることが明かされています。

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このことから明らかなように、雪乃と雫には結構距離があり、この台所での位置関係が、そのまま現在の三姉妹の人間関係になっているのである。シンプルな演出ではありますが、あたかも3姉妹がぴたりと並んでいるようなカットを挟むことでその後の距離感が際立つことになる(*3)、という指摘がなされています。

3.『猫神やおよろず』第9話における距離感を強調する演出


『Candy☆boy』第3話の指摘を踏まえたうえで、『猫神やおよろず』第9話における距離感を強調する演出についてみていくことにしたいと思います。

冒頭において記述したように、この時点では繭と柚子の間には一定の距離感があるかのようでした。それに、2人が歩いている様を正面から見ると、あたかも2人がが一直線上にぴたりと並んでいるように見えるのです。

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だが、本作品も同様に次のカットで種明かしがなされます。先ほどの正面まらのカットではあたかも2人が並んでいるかのようであったのです。しかし、横から見てみると、実は2人は離れていることがわかります。

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本作品においても、あたかも2人がぴたりと並んでいるようなカットを挟むことで、その後の距離感が際立つ演出が施されているかのようなのではないでしょうか。

それに、台風直近の大雨洪水警報が出されるとまではいかないものの、かなりの音を響かせるほどの突然の雨が降っていました。そこで、当然のことながら柚子は傘をさしているわけですが、繭はその傘の中に入れてもらえていないのです。

仲の良いもの同士、1つの傘を共有し合うという相合傘があります。相合傘をすることで2人の距離感の近さを表現するのであれば、このように雨が降っているにも関わらず繭は柚子がさしている傘に入れてもらえないところを見ても、2人の間には一定の距離感があることがわかります。

確かに、雨とは感情のメタファーとして機能することが多いことからも、柚子の猫に対する悲しげな感情を表現しているのかもしれません。しかし、雨を降らせることで柚子は傘をさす。にも関わらず、繭を傘には入れないという、雨が以上の因果系列を経て2人の距離感を強調する演出となっているのではないでしょうか。

4.結語


今回、『Candy☆boy』第3話における距離感を強調する演出の指摘を踏まえたうえで、『猫神やおよろず』第9話をみていくことにしました。すると、あたかもぴたりと並んでいるようなカットを挟むことで、その後の距離感が際立つ演出が施されているかのようでした。

それに加えて、雨は柚子の猫に対する悲しげな感情を表現しているのかもしれません。しかし、雨を降らせることも2人の距離感を強調する演出となっているかのようだったのです。

次回以降も魅力的な演出を見ていきたいと思うので、これからも是非継続して視聴していくことにしたいと思います。

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・今年のアニメについて語る座談会、
・今年の4月~6月放映作品を中心としたクロスレビュー
以上を中心とした内容で全148Pです。

『アニプレッション! Vol.2』をお手にとって頂けるとありがたい限りでございます。それでは、よろしくお願いいたします。



(*1)夏の新アニメ『猫神やおよろず』第1話・・・キャラが可愛い神様を描いたコメディーアニメ」(やらおん!)を参照。
(*2)枠を使った演出が良い 猫神やおよろず8話」(himascoのアニメ備忘録)を参照。
(*3)ついにCandy☆boyの星川監督動く」(まっつねのアニメとか作画とか)を参照。