1.はじめに


こんにちわ、柚木です。現在放送されている『バカとテストと召喚獣 にっ!』ですが、視聴してまず印象に残るのは画面全体がとても鮮やかさであるということだと思います。本編はもちろんのこと、OPなどでもパステル調の色彩が用いられているためか、その鮮やかさだけでもついつい見惚れてしまいます。

それに、OPやCM前に入るアイキャッチに映し出されれている問題など、大量の文章が画面に表示されており、かつ数秒しか表示されないために私たち(視聴者)は文字を一語一句読むことはできない状況に陥ってしまうように思われます。しかし、私たちは画面の情報を読み取ることができない状況に陥ると情報を読み取るため通常以上に集中して視聴してしまい、いつの間にか画面に食いついてしまうのではないでしょうか。

他にも、第8話における美波の心情をフィルム調を用いて表現するなど(*1)、すでに指摘なされているように、素晴らしい演出を数多く視聴することができるアニメであるように思わます。

第9話において吉井明久と姫路瑞希が橋の上でやりとりしているというシーンがありましたが、このような橋を用いたシーンを1期の第4話でも目にしました。そこで今回は、1期の第4話における橋を用いたシーンをみていき、そこから今回のシーンをみていくことにしたいと思います。

2.『バカとテストと召喚獣』第4話における橋を用いたシーン


1期の第4話における橋を用いたシーンとは、美波が明久に作ってきたお弁当を渡そうとするものの、結局渡すことができない状況に、利光が登場するという局面でした。

利光と美波は男性と女性であることからも明久に対する想いの内容は別のものであるにせよ、少なくとも両者ともに明久に想いが向かっているということは今まで視聴している限りでは違いないようです。それに、この局面は手作りのお弁当か学食の定食かという違いはあるにせよ、美波と利光ともに明久と一緒に食事を摂ることを望んでいるという想いであったのではないでしょうか。

しかし、最終的にその想いを叶えることができたのは食事代をおごることで利害の一致をはかることができた利光であり、美波はその想いを伝えるということはもちろんのこと、叶えることすらできなかったのです。

そこで、2人の立ち位置から最終的な結果についてみていきたいのですが、明久が1人左側に、利光と美波が2人ともに右側に配置されていることがわかります。

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これは上述したように、明久1人に対して利光と美波の2人が想いを寄せているという関係と立ち位置とが一致しています。また、最終的に橋を渡ることができたのは利光であり、利害の一致を図ること(心と心をつなぐこと)ができたのは利光だったのです。

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このようなことからも、橋がキャラクターの心情を露わにし、ひいては心と心を繋ぐ架け橋として機能しているように思われます。

3.『バカとテストと召喚獣 にっ!』第9話における橋を用いたシーン


今回も1期の第4話のように橋を用いたシーンがあったわけですが、それは明久と姫路のやりとりに用いられていたのです。

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しかも、そのやりとりの内容とは、姫路が屋上における一連の行動が演技だったとはいえど自分の好きな人(明久)が美波に取られてしまうのがかなり悲しかったのかもしれないと、自らの心情を露わにしていることがわかります(*2)

それに、明久には、屋上における姫路の行動が演技には見えず、「もしかして姫路さんは…」と明久が姫路の想いを知り恋愛が成就する(心と心をつなぐ)のかと思いきや、「演劇かなにかやっていたのかな」と鈍感さゆえに姫路の想いを察することができず恋愛が成就することもなかったのです。

1期の第4話では、明久と利害の一致を図ること(心と心をつなぐこと)ができたのは利光は共に橋を降りているのに対し、姫路は1人で降りていることからも、恋愛の不成就(心と心をつなぐことができない)ということを物語っているかのようです。

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このようなことからも、今回も同様に橋がキャラクターの心情を露わにし、ひいては心と心を繋ぐ架け橋(今回は繋ぐことができなかったという表現)として機能しているのではないでしょうか(*3)

4.結語


今回の第9話における橋を用いたシーンは、1期の第4話でも同様なシーンが存在したことからも、橋がどのような機能を果たしているのか検討して見ることにした。すると、橋がキャラクターの心情を露わにし、ひいては心と心を繋ぐ架け橋として機能しているのようだったのです(*4)

冒頭にも記述したように、魅力的な演出が多く、ついつい画面に食いついてしまうような作品であることからも、次回以降も画面に食いつくようにして視聴していきたいです。


(*1)バカテス7話までの振り返り、そして8話の過剰演出の素晴らしさ」(隠れてていいよ)を参照。
(*2) 
1期の4話と今回とでは、キャラクターを橋の両端に配置しているのか、橋の上に配置しているのか、という違いはあります。ですが、1期の4話は明久1人に対して利光と美波の2人という対抗関係であったのに対して、今回は明久1人に対して姫路1人という関係であったという違いからではないかと思っています。
(*3) 背景に存在する物を用いた演出の指摘として、「バカテス2期の西田正義コンテ回について語る その3(小動物や背景に存在するモノを使った演出)」(クラッカ雑記 ~アニメにおける作画とか演出とか~)を参照。
(*4) 他にも、『星空へ架かる橋』第12話においても、一馬と初の心と心を繋ぐやりとりが橋の上で行われいたと思います。