こんにちは。はじめまして、「刹那的虹色世界」の月詠です。

今までメンバーながら記事の寄稿をしてこなかったのですが、そろそろ自分なりの形で記事を書ければと思い、今回初寄稿となります。よろしくお願いします。

さて、そこで「いったい何を書けば?」と首を傾げた結果、自分が記事を寄稿しなお且つ自分がやっているBlogとは一味違うものは何かと考えた結果、ロボットネタが良いかなと(笑 そんなわけで最初はロボットの中ではメジャーな「ガンダム」ネタです。
 


ガンダムシリーズは、『機動戦士ガンダム
OO』が完全新作作品としては19年ぶりに劇場公開され、さらに201110月からは完全新作のTVシリーズ『機動戦士ガンダムAGA』がスタート。外伝・スピンオフを踏まえれば、数えきれないほどのタイトルとモビルスーツ(以下MS)を始めとした機動兵器が活躍するガンダムシリーズの一つに、コズミック・イラという世界観を舞台とした作品があります。
 

『機動戦士ガンダムSEED』と『機動戦士ガンダムSEED DESTINY』ですね。 


外伝作品を踏まえれば手広く展開しているシリーズ。賛否両論の激しいシリーズでもありますが、その作品の人気を支えた一要素であるMSに着目し、その進化がどのようなものであったのかを考えてみたいと思います。
 

取り上げるのは『機動戦士ガンダムSEED』で物語後半の主人公機を務めたフリーダムと、その後継機ストライクフリーダム。 

もし少しでも興味を持っていただけならば、気楽に気軽に「続きを読む」をクリックして下さい。
(本当なら一度に全部公開するつもりだったのですが、文量が多かったので二回に分けることにしましたw)

   

(※ここから先はいつもの論文っぽい論調になっています。あしからず)

さて、本当ならフリーダムとストライクフリーダムの公開されているスペックや戦績の比較などをするべきなのだろうが割愛。それをやると本当に論文っぽくなってしまって、文量も多くなってしまうから(苦笑 
しかし、そうは言っても全くの紹介がないというわけにもいかない。ざっとフリーダムに触れながら、後継機であるストライクフリーダムへの進化や退化といった最新鋭のMSの移り変わりを見て行こう。

そもそもフリーダムという
MSは、コズミック・イラにおいて特殊な立ち位置にある。それはこのMSが核動力を搭載している、という点である。後にも先にもコズミック・イラにおいて大部分のMSはバッテリーによって蓄えられた電力で駆動しており、当然蓄積出来る電力量には限りがある。それを使い切ればMSはエネルギー切れに陥るわけだが、フリーダムは内部に電力を発電するための核動力を保有することで半永久的な稼働が可能になったのである(もちろん、弾薬や推進剤、パイロットなど補給や補充などが必要な要素は多々あるが)。

またエネルギーが有限であったバッテリー機とは異なり、核動力機は原子力によって電力を生み出し続けるため、より消費エネルギーの大きな大出力の武装を積載することが出来るようになった点も大きな違いであった。


この辺りの違いはまた別の機会があれば語るとして、そうした機体の後継機として開発されたのがストライクフリーダムである。ここからはようやくストライクフリーダムの兵装を見ながら、フリーダムからの進化と退化を考えていきたい。



1.技術進歩による多機能化の実現

フリーダムとストライクフリーダムを比べた時に、MS開発史として注目すべきは「兵装の多機能化」が進んでいる点である。

例えばフリーダムが装甲材質として用いているのはフェイズシフト装甲(以後PS装甲)と呼ばれる特殊な装甲であるが、ストライクフリーダムにはこの発展型であるヴァリアブルフェイズシフト装甲(以後VPS装甲)が使われている。

このPS装甲とVPS装甲の違いは、簡単に言ってしまえばその特殊な装甲を使用するのに必要なエネルギー量(電力)を変化させられるか否か、という点のみである。PS装甲はその装甲に使われる電力が固定式で、VPS装甲は搭載する装備や状況に応じて装甲に使われる電力を自在に変えることが出来る変化式である。つまり、装甲としての根幹である防御性に関して大きな変化はないわけで、極論を言えばこの機能はなくても問題なく、消費する電力量をコントロールするという機能を追加し多機能化させたVPS装甲は「多機能化」というMSが進んでいた進化のベクトルを知る一つの大きな手掛かりになる。



多機能化は装甲だけではなく武装にも及ぶ。フリーダムでは複数の機能を保有していた武装はほとんど存在せず、強いて挙げれば腰部に装備していたレールガンがサブスラスターの機能を有し、特徴的なウイングが大型ビーム砲の冷却板や重心制御を行う機能を持っていた程度であった。しかし、ストライクフリーダムでは腰部レールガン・背部ウイングの機能をそのままに、携行するビームライフルはその機能以外に二挺のライフルを連結することでロングライフルとして使用可能になっているほか、背部のウイングは無線遠隔兵装(コズミック・イラではドラグーンと呼ばれる兵器)とそのプラットフォームを兼ねると同時に最新型の推進システムを搭載する。

これら兵装の多機能化は当然、技術的な進歩があればこそである。

また技術的な進歩という点で言えば、ストライクフリーダムは機体本体に大出力ビーム砲を固定装備している点も進歩の一つと言えるだろう。数は少ないが既存の核動力のMSが機体本体――しかも胴体部に固定の大出力ビーム砲を有することはなかったし、同時期に開発された新型の核動力機にも胴体部にビーム砲を備えるというMSは見当たらない。ただし、バッテリー動力のMSの場合では一部ではあるが胴体に大出力ビーム砲を有する機体がある。


この違いはただ一つ。その機体が何で駆動しているか、という点に尽きるだろう。


要は暴発や不測の事態を想定した時に、「バッテリー機はともかく機体が核動力で動いているMSの胴体にビーム砲を装備出来るか」ということだ。無論、バッテリー機であろうが核動力機だろうが胴体にビーム砲を内蔵すると言うことは、コクピット付近にその発射口と発射に必要な高エネルギーを生み出す装置が置かれることになり、胴体にビーム砲を内蔵する危険性はどのMSにもある。しかし、核動力のMSの場合、仮に暴発でもした場合にその被害は一機のMSが爆発した、というだけでは済まされない。その機体の爆発はつまり核爆発に直結する可能性を大いに含んでいることなのだから、当然だろう。



にも関わらずストライクフリーダムは胴体部(腹部)の大出力ビーム砲を備えている。コクピットはその直上の胸部に位置しており、パイロットは常に暴発時の危険性と隣り合わせということになる。ということは、ストライクフリーダムの装備する腹部のビーム砲およびその周辺はそうした不測の事態や暴発に対応出来るだけの技術的な進歩があるということだ(実際にそうした不測の事態に対応するための処置が取られていたと言う説がちゃんとある)。

多機能化ではないが技術的な進歩は腰部に装備するレールガンでも見て取れる。レールガンは、その初速が銃身の長さと電圧に比例とも言われる。その場合、銃身が長いフリーダムの持つレールガンの方が、初速が速くその分だけ威力が高いと考えられるが、実際にはストライクフリーダムの装備する短銃身のもののほうが威力は高い。それは、銃身の長さの不利をカバー出来るだけの電圧や技術的な向上があるからこそだろう。

技術的な進歩とそれに伴う多機能化は、MSにさらなる性能を与えることに成功した。しかも、この間(フリーダムとストライクフリーダムが開発された間)は二年もない。わずか二年足らずで新装備・新兵器を開発するだけではなく、それらの装備や兵器を既存のものと組み合わせ多機能化出来ている事実は、この二体のMSが開発された期間がコズミック・イラという世界にとっていかにMS開発における過渡期であったかを窺い知るのに十分ではないだろうか。



    2.多機能化を追求した弊害

多機能化はMSや武装の性能を引き上げ、多様性を持たせることに一役買っているのは間違いない。しかし、多機能化を追求した結果としてMSや武装に弊害をも生み出してしまっている。解りづらい部分ではあるが、フリーダムとストライクフリーダムを比較することでそのことを実は解りやすく捉えることが出来るのである。

ストライクフリーダムはフリーダムよりも高性能で多機能であることを追求されている。だが、そこには大きな弊害が生まれている。

それが汎用性である。

フリーダムは大気圏外(宇宙空間)から大気圏内(地上・空中)まで機体・武装ともに戦場を選ばずに使用することが可能であった。どの戦場、どの戦況においても無駄となる装備がなかったと言ってもいい。

しかしストライクフリーダムはそうではない。ストライクフリーダムも機体そのものは大気圏外から大気圏内まで運用可能であったが、ストライクフリーダムが搭載したドラグーン(厳密にはスーパードラグーンというらしい)は重力のない空間――つまり宇宙空間でなければ使用出来ない装備であった。また、同時期に開発され同様のドラグーンを装備したレジェンドというMSのようにMS本体にマウントした状態でも使えると言うわけではないのである。


つまり、この装備は「ウイング」というパーツを多機能化させたは良いが、大気圏内では使うことが出来ない装備になってしまったわけだ。これは単純に大気圏内では装備が使えないと言うだけではなく、大気圏内での運用においてほぼ使いものにならない装備どころか、本体の重量を増加させるだけのデッドウェイト化していることを意味している。つまり、重力のある大気圏内において余計な重量を増加させ、機体の機動性能を悪化させていると言えるわけだ。

この点で言えば、どの戦場においても場所を選ぶような装備のないフリーダムの方がより完璧な汎用性を獲得していると言える。


また過度な多機能化は、同時に構造上の欠陥を生んでいる。
例えば、大気圏内ではほとんど役に立たないスーパードラグーンはもちろんのこと、スーパードラグーンをマウントするウェポンプラットフォームにも構造上の欠陥を見て取れる。ウェポンプラットフォームの役割を兼ねる背部ウイングは、前述のようにそれだけでなく最新の推進システムを搭載している。これによって機体の機動性能を高めることが出来るわけだが、それを使用するためにはマウントするスーパードラグーンを全て取り外した状態でなければいけない、という欠点がある。

大気圏外ではスーパードラグーンを使用することで取り外すことも可能だが、大気圏内においては事前に取り外しておかなければならない。また、大気圏外でもいざ高い機動性能を求める時には、場合によってスーパードラグーンを廃棄する選択も迫られる可能性があると言うことだ。


同様の構造上の欠陥は腰部にもある。

腰部にはフリーダム同様レールガンを装備するが、普段両手で携行するビームライフルは使用しない時には腰側部にマウントする。その時、腰側部のレールガンは腰背部へとスライドすることでライフルを懸架するためのスペースを確保するわけだが、これはライフルを腰にマウントしている時にはレールガンが使えなくなる、ということである。

パイロットの卓越した操縦技術とセンスによって、ライフル以外の武装を使いつつレールガンを使用する時は、ライフルを上空に放り投げ落下してくる間にレールガンを使用し、その後放り投げたライフルをキャッチすると言う離れ業でクリアしたが、それはパイロットの技量のおかげであり、MSとして構造上の欠陥が事実は変わらない。


また作中では語られなかったが、MSそのものが大型化している事実がある。フリーダムは全高18.03m、重量71.50tと言われるが、ストライクフリーダムは全高18.88m、重量80.09tとほぼ一回り前後巨大化している。MSが大型化すれば、自動車やバイクと同じように小回りが利かなくなり機体の敏捷性は低下する(ストライクフリーダムはかなり強引な手法でこの問題は解決したのだが)。

加えて一つの装置や部材が複数の機能を兼ね備えたり、機体が大型化すると言うことはそれだけ製造コストや管理コスト(整備など)がかかるということだ。コストは単純に金銭面の問題だけでなく、人的コストも含まれるわけだから、どのような組織・勢力であったとしてもコストの増大は機体の運用効率を低下させる。



MS
の多機能化は、確かにMSやその武装にさらなる性能を与えたが、その結果としてMSの構造や製造・維持に大きな負荷をかけているというわけである。

(後編に続く)